研究テーマ

心筋細胞を模倣した自励振動ゲルの設計と応用

生体の代謝反応(TCA 回路)の化学モデルでもあり,化学振動反応として知られているベローソフ・ジャボチンスキー反応(BZ 反応)をゲル内で引き起こし,その化学変化を力学変化に転換する分子設計を行うことにより,ゲルの周期的な膨潤収縮振動を生み出すことに成功しました。
これにより心筋の拍動のように,一定の条件下で周期的なリズムを自励的に発振する機能を持つ新しい生体模倣型の高分子ゲルが作成されました。

従来の刺激応答性ゲルと異なり,外部刺激の on-off なしに膨潤収縮振動が実現された世界で初めての例です。
自ら周期運動するマイクロアクチュエータ,自己拍動型や蠕動運動型のマイクロポンプなど,新しいバイオミメティックな機能性材料への展開が期待されます。

TCA 回路

現在ではさらに,バイオマテリアルとしての応用に向けて,この自励振動機能を生体環境下で実現するための分子設計を行っています。
具体的には,pH コントロール部位や酸化剤として働く部位を高分子鎖にあらかじめ導入することにより,生体に存在する有機酸(たとえばクエン酸)のみの存在下で振動機能を発現するような分子設計です。
実際に,酸および酸化剤無添加条件で自励振動を起こすことに成功しています。

TCA 回路と同様にサイクリックな反応ネットワークを人工的に生み出すメカニズムがゲルの中に内臓されている